力を抜くということ

皆さんは社交ダンスのレッスンを受けている時に、先生から「もっと力を抜いて」などと注意されたり、踊っている時に、相手に対して「もっと力を抜いてほしいな」などと思った事は多いのではないでしょうか。

ところが、踊っている最中に身体の力を抜くということはなかなか難しいことですよね。

上手く身体の力を抜いて踊れれば、先生に怒られずにすむし、相手にもいやな思いをさせずにすむし、だいいち自分がとても楽しく踊れるのですけど・・・

 

そこで、“力を抜く”ということは具体的にどういうことなのかを考えてみます。

ただ力を抜けば良いと思って、身体をデレデレとしてみてもダンスが踊れる訳がありませんよね。

力を抜くと言っても、全く力を抜いてしまうのではなく、良い力の入れ方のことを言うのです。

逆に、“力を入れる”ということを身体の解剖学的に考えると、関節と関節を繋いでいる筋肉(主にアウターマッスル)を縮めて、その2つの関節を固めてしまうことなのです。

そうすれば、力と力がぶつかり合うような格闘技では、相手を投げ飛ばす為に思いっきり相手に力をかけたり、スポーツでは、ボールを遠くに飛ばす為に思いっきり力を入れたりと、つまり外部に大きな力を出せるのです。

あるいは、床に投げ飛ばされたり、ボールに当たったりした場合には、関節を固める、つまり筋肉に力を入れることによって大きな怪我を防ぐことができるのです。

それに対して社交ダンスでは、相手は敵ではないし異性ですからできるだけ優しく接したいし、ボールを投げるのではなく自分が飛んで行くのですから、外に力を出す必要は全くありません。

また、踊っている最中に人とぶつかったり転んだりしても、社交ダンスではほとんど大怪我をすることはありません。

つまり、“力を抜く”ということは、関節と関節を開く、その為に、関節と関節を繋いでいる筋肉を伸ばすだけの力で良いということなのです。

姿勢でいうと、姿勢が悪いのは全く力が入っていないことで、皆さんがやかましく注意される背骨を伸ばした良い姿勢とは、椎骨の関節を伸ばしているのですから、良い意味での力を抜いた状態なのです。