鎖骨について(1)

 社交ダンスは脚(あし)でステップを踏むのですが、上級者になればなるほど脚だけでなく、腕の使い方も重要になってくることは、皆さんもご存じだと思います。
その腕について、一般的には、目に見える肩から先の部分を考える方が多いようですが、解剖学的には、身体の中心から、鎖骨、肩甲骨、上腕、前腕そして手となります。
最近は、マスコミなどで肩甲骨の重要性がクローズアップされてきていますが、腕の一番の基点となっている鎖骨については、その重要性に比べてまだまだ注目度が低すぎる現状ではないでしょうか。

 鎖骨を動かすといっても、外から見てほとんど動いているようには見えませんが、首の下の両鎖骨に手のひらを軽く当てて、もう片方の腕を動かしてみると,僅かに鎖骨が動くのが自覚できると思います。
鎖骨の動きとは、体幹部にある骨なので、それほど大きな動きができるわけではなく、とても微妙な動きをするのですが、私は感覚的にいって次の2つの使い方に注目しています。
両腕で重い荷物を持つなどの力仕事をする場合には左右の鎖骨を一体化して使うことが大事なのですが、逆に両腕で違う動作をする場合には、力を入れないでしっかりと身体を使えるようにする為に、左右の鎖骨を僅かに前後にずらすことが大事だと思います。
これは技ですね。
私たちの社交ダンスは、もちろん技を使うわけです。

 現在は、鎖骨という言葉の社会の認識が低いわりに、「鎖骨美人」という言葉があり、いつの頃に生まれた言葉かは解りませんが、きっとその時代には今と違って人々の鎖骨への意識がもっと高かったのではないかと推察します。