たかが鎖骨されど鎖骨(3)

 鎖骨をずらす話をしていますが、鎖骨に意識を持ってくると上体に力が入りすぎてしまうかもしれません。
そこで、鎖骨を充分に意識出来るようになってきたら、身体全体をフワッとさせるようにすると柔らかく踊れるようになります。
他にも、ほんの少し鎖骨をずらしただけで、身体の動作が非常に向上することがたくさんありますが、又の機会にお話しすることにします。

 私が、社交ダンスを教える上で鎖骨に注目するようになったきっかけは、以前にヴァイオリンを習っていた時でした。
その時、先生が手を使わなくても、あごと左鎖骨だけで簡単にヴァイオリンを支え、かつ操作することができることにとても驚きました。
ヴァイオリン奏者ほど、鎖骨を意識して使っている人は他にいないのではないでしょうか。
皆さんもちょっと想像してみてください。
左へ大きなラインを出してワルツを踊っている女性と、ヴァイオリン奏者の左へのラインはすごく似ていませんか。
ヴァイオリンの方があごで挟んでいる分、いくらか顔が立っているようではありますが。

 “整体”では、身体の異常を知る為に鎖骨の動きを探ったり、或は鎖骨の可動性がいい人は身体の動きが相当良くなる、と言います。
リンパマッサージでは、1番大切なリンパ節は鎖骨リンパ節、特に左鎖骨リンパ節だということです。
社交ダンスは健康に良い、とはよく言われていますが、ただカロリーを消費するので健康に良いというのでは社交ダンスの本質が解っていないと思います。
健康に、楽しく、そしてより美しく踊る為には、身体の各関節を上手く合理的に使うこと、その為には鎖骨にもっと目を向けてはいかがでしょう。