首と鎖骨

前回は首周辺の筋肉についてでしたが、今回は首と鎖骨の関連について考えてみます。
腕を動かす時の一番の基点となるのは鎖骨である、と以前からお話ししていますが、女性の美しい首のラインと動きを、或はラテン種目における個性的な顔の表情を陰で演出しているのも、鎖骨なのです。
もちろん、男性の首に関しても同じことが言えます。

左の方へ首を向ける時には、両鎖骨のうちの左の鎖骨を前に“ずらす
”、右へ首を向ける時には右の鎖骨を前に“ずらす”と、首にしっかりとした手ごたえを感じる位置が見つかります。
両鎖骨が並んでいたり、逆の鎖骨を前にずらしても首は安定しません。
スタンダード種目の女性の場合、顔の微妙な向きやネックラインを外見で決める方が多いようですが、それでは合理的な身体の使い方となっていない為に、上体に余分の力が入ったり、首が向いている方向に身体が捩じれたりして身体全体のバランスを壊してしまっています。
そして、顔の向きが変わる時には、必ず鎖骨の動きと連動して動かすことが重要となりますので、顔の向きを絶えず変えることを要求される女性は大変だと私は思っています。
男性では、右ホールドで女性を抱えている方を良く見かけますが、これは、首は左を向いているのに右鎖骨が前にずれているという典型的な悪い形です。
このように、首の動きと常に連動させて鎖骨を動かさないといけないのですが、ホールドに力が入っている人、肩が上がっている人や逆に下げ過ぎている人などは鎖骨が固まってしまい、首のラインと動きが悪くなり、顔の表情も無くなってしまうのです。