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2013年2月

仙腸関節と股関節の区別(続)

仙腸関節と股関節の使い方の違いをもう少し詳しく説明します。
私たちは、腰を開く時につい「お尻をしめて」と言うことが多いと思いますが、その言い方はかなり大雑把な表現なので、もう少し正確に言わないといけないでしょう。

“お尻をしめる”といっても、“お尻の穴をしめて”という言い方をよく聞きますが、それだと、お尻の下の方、つまり図を見てわかるように、下の方にある尾骨のあたりをしめる感じとなり、その近くの股関節を使ってお尻をしめた状態になります。
股関節を使って腰を開くと、もちろん脚の動きが窮屈になることは前に指摘しましたね。
歩く時も外股になってしまいます。
さらに、筋肉でいうと、大殿筋、腹直筋などを使うことになりますが、これらの筋肉はアウターマッスルといって、身体全体に大きめの力が入ってしまいます。
  imagesCAG5O3G4.jpg  

一般には、多くの場合にこの方法で腰を開いていると思います。

それに対して、お尻といってももっと上の方、腰骨(腸骨の上部)あたりをしめる感じだと、上の方にある仙腸関節を使ってお尻をしめた状態になります。
筋肉でいうと、もちろん先にあげた筋肉も使いますが、腸腰筋、腹横筋などのインナーマッスルを主に使うことになります。
このようにインナーマッスルを使って腰を開くと、身体に少しの力しか入りませんから力むことなく、さらに股関節も自由になるので脚をスムーズに動かすことが出来ます。
歩く時は、爪先を真っ直ぐ前に向けて歩きましょう。
この腰の開き方は難しいと思いますが、これこそまさに“技”なのです。

以上のように、一口に“腰を開く”“お尻をしめる”といっても、内容は微妙に違います。股関節を使うことは簡単ですが、この仙腸関節を動かすということは一般には解りずらい感覚だと思いますが、その点をしっかり区別して行えば、社交ダンスだけでなく様々な分野での運動の質が向上するはずです。

 

歩く時の腕の動き

歩く時の腕の動きを考えます。
まず最初に、私たちは両手に荷物を持って歩いている時は、腕を振らないでも歩けます。
このように、最も大事なことは、歩く時には腕は主役ではないということの認識です。
社交ダンスのスタンダード種目では、ほとんど腕は使わないで動いているわけですから。(厳密にはいくらか動かしてはいます)

しかし常識的には、出る脚と反対の腕を振るように歩いていますが、それはなぜなのかを考えてみます。
例えば、両腸骨と仙骨が固まって一つになっていると、右足を出すと、腰が左へ回ってしまうので、バランスをとる為に反対の左腕を前に振ることになります。
しかし、両腸骨と仙骨を固めないでいれば、右腸骨を前に動かすように右足を出せば、腰に回転運動がおきないので、仙骨が前へ進み、左腕を振らなくても前へ歩けるのです。(前回説明済み)
ところが一般には、反対の腕を振ることによって、つまり腕が主役になることによって前進力がつくと勘違いされているのです。

あくまでも、歩く主役は下半身であって、その動きをしっかりつかんでから、それを助けるように腕を振ることが大事です。
では、腕を振らないでも充分に歩けますが、腕が空いているとブラブラしておさまりが悪いので、腕を振って歩こうとすると、どのように歩けばいいのか、ということになります。
ここでお勧めの腕の振り方を提案します。

例えば右腕の振り方ですが、左足前進した時に肘をまげて手がお臍の前あたり(正確には仙骨の前)にくるように、次に、右足前進した時に肘を斜め後ろに伸ばして、そしてその間で振ってください。
逆の腕も、その右左逆を行います。
ここで最大のポイントは、仙骨と手の位置関係です。
腕と反対の足が出た時は手を出来るだけ仙骨に近づけ、同じ側の足が出た時には手を出来るだけ仙骨から離すのです。
どうでしょう。
とても楽に速く歩けることが解ってもらえたでしょうか。
それを理解できると、ルンバ等でのフリー側のアームの動かし方が見えてくるはずです。

仙骨から考える歩き方

身体を横から見ると仙骨は小さく見えますが、前後から見ると意外にもかなり大きいということが解ります。
ですから、腰を左の腸骨、仙骨、右の腸骨と3等分して考えてください。
この3つが固まっていると、左足を出すと腰全体が右に回り、右足を出すと腰全体が左へ回り、その結果、仙骨が不安定になり、背骨もふらついてしまいます。
或は、体重を一歩一歩にしっかり乗せるように歩くということは、片足に片方の腸骨と仙骨を乗せることになるので、足ごたえはあるのですが、ステップする度に仙骨が左右に揺れて不安定となり、その上に乗っている上体が不安定になります。

そこで、仙腸関節を固定しすぎないで意識的に若干動かすことにより、左足前進の時はできるだけ左腸骨だけを、つまり腰の左側1/3を
前に動かし、右足前進の時はできるだけ右腸骨だけを、つまり腰の右側1/3を前に動かすように意識することによって、仙骨を真っ直ぐに前進させるように歩きます。
そうすると、一歩一歩の“足の上に仙骨を乗せない”で、つまり2軸2トラックで歩くようになり、上体が安定して歩幅が大きく、軽々と歩けます。
今説明していることは、目に見えない身体の内部の感覚なのですが、別な言い方をすると、前回に説明した、仙腸関節でお尻をしめて股関節をしっかり動かして歩くという感じでもあります。
これが、いわゆる腰の入った、しっかりした歩き方ということです。

以上の歩き方をすると、常識と思われている、歩く時には出す足と逆の腕を積極的に振るということが、いかに身体が前へ進むことを妨害しているかが理解できると思います。
歩く時の腕の動きは、あくまでも仙骨が進んでいく動きを邪魔しない範囲で考えることが重要なのです。
これは、ルンバ等でのアームの使い方の基本的な感覚となります。

そういえば、一般にウエイター、ウエイトレスには歩き方が良い人が多いと感じています。
私はよくファミリーレストランに入るのですが、以前に一人の若いウエイトレスさんがとても素晴らしい歩き方をしているので、「バレエでもやっているの?」と聞いてみると、「いいえ、混んでいる時にブラブラ歩いていては仕事にならないので、自然にこう歩くようになったのでは。」と言われました。
しかも、皿などが乗っている大きなトレーを手の上に乗せて速く歩くには、上体がフラフラしないで安定していなければならないのです。
今も 、あるファミレスでお茶を飲みながら、テキパキと素敵に歩いているウエイトレスさんに見とれながらこの原稿を書いています。
そして又、よせばいいのに、彼女に話しかけてしまいました。
「あなたはダンスやってるの?」

仙腸関節と股関節の区別

私たちが運動するには骨が動く、そしてその骨が上手く動くには関節が正しく使われなくてはいけません。
骨盤に関する関節としては、股関節、仙腸関節、腰仙関節がありますが、使い方で紛らわしいのが股関節と仙腸関節です。
多くの方は股関節は知っていると思いますが、仙腸関節の知名度はとても低いのではないでしょうか。
その為に、仙腸関節を動かさなくてはいけない所で、勘違いをして股関節を動かしてしまい、正しい動きができていない場合があるように思いますが、 骨盤の動きを考える上で、股関節と仙腸関節の動かし方を正しく区別することが、より身体を上手く動かすコツになると思います。


腰を開く為の関節の使い方は2通りあります。
両足の踵をつけて、爪先を90度くらいに開いて立つと、お尻が締まり腰が開きますが、これが股関節を使って仙骨を固定して腰を開いた状態です。(B)
次に、両足の踵と爪先を揃えて立ち、お尻をしめて腰を開くと、これが仙腸関節を使って仙骨を固定して腰を開いた状態です。(A)
どちらも腰が入ってしっかりした状態ですが、Bの状態は股関節を使って腰を開いているので、股関節を歩く為に動かせなくなってしまい、それでも股関節を使って足を動かすと腰が抜けてしまいます。

   kotuban340[1].gif

ですから、これから動く場合には正しい腰の開き方ではありません。
それに対して、Aの状態は仙腸関節を働かしていて股関節は使っていないので、腰を開いたままで股関節は足を動かす為、つまり歩く為に使える状態にあります。
身体を動かす時にはこのAの腰の開き方が良いのです。

また、ワルツ等のスタンダードのレッスンの時によくあるのですが、足の爪先を外に向けないで真っ直ぐ前に、と注意することがありますが、本人は腰をしっかり入れているのだと思いますが、股関節を使っているので爪先が外に向いてしまうのです。
仙腸関節を使っていれば、股関節が外に開いていないので爪先は真っ直ぐに前を向くのです。
股関節は解りやすくて使いやすい関節なのですが、しっかりと仙腸関節と区別して使わなければいけません。
一般に知られていない仙腸関節を使うことは、“高度な技”であると思います。

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