仙腸関節と股関節の区別

私たちが運動するには骨が動く、そしてその骨が上手く動くには関節が正しく使われなくてはいけません。
骨盤に関する関節としては、股関節、仙腸関節、腰仙関節がありますが、使い方で紛らわしいのが股関節と仙腸関節です。
多くの方は股関節は知っていると思いますが、仙腸関節の知名度はとても低いのではないでしょうか。
その為に、仙腸関節を動かさなくてはいけない所で、勘違いをして股関節を動かしてしまい、正しい動きができていない場合があるように思いますが、 骨盤の動きを考える上で、股関節と仙腸関節の動かし方を正しく区別することが、より身体を上手く動かすコツになると思います。


腰を開く為の関節の使い方は2通りあります。
両足の踵をつけて、爪先を90度くらいに開いて立つと、お尻が締まり腰が開きますが、これが股関節を使って仙骨を固定して腰を開いた状態です。(B)
次に、両足の踵と爪先を揃えて立ち、お尻をしめて腰を開くと、これが仙腸関節を使って仙骨を固定して腰を開いた状態です。(A)
どちらも腰が入ってしっかりした状態ですが、Bの状態は股関節を使って腰を開いているので、股関節を歩く為に動かせなくなってしまい、それでも股関節を使って足を動かすと腰が抜けてしまいます。

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ですから、これから動く場合には正しい腰の開き方ではありません。
それに対して、Aの状態は仙腸関節を働かしていて股関節は使っていないので、腰を開いたままで股関節は足を動かす為、つまり歩く為に使える状態にあります。
身体を動かす時にはこのAの腰の開き方が良いのです。

また、ワルツ等のスタンダードのレッスンの時によくあるのですが、足の爪先を外に向けないで真っ直ぐ前に、と注意することがありますが、本人は腰をしっかり入れているのだと思いますが、股関節を使っているので爪先が外に向いてしまうのです。
仙腸関節を使っていれば、股関節が外に開いていないので爪先は真っ直ぐに前を向くのです。
股関節は解りやすくて使いやすい関節なのですが、しっかりと仙腸関節と区別して使わなければいけません。
一般に知られていない仙腸関節を使うことは、“高度な技”であると思います。