仙腸関節と股関節の区別(続)

仙腸関節と股関節の使い方の違いをもう少し詳しく説明します。
私たちは、腰を開く時につい「お尻をしめて」と言うことが多いと思いますが、その言い方はかなり大雑把な表現なので、もう少し正確に言わないといけないでしょう。

“お尻をしめる”といっても、“お尻の穴をしめて”という言い方をよく聞きますが、それだと、お尻の下の方、つまり図を見てわかるように、下の方にある尾骨のあたりをしめる感じとなり、その近くの股関節を使ってお尻をしめた状態になります。
股関節を使って腰を開くと、もちろん脚の動きが窮屈になることは前に指摘しましたね。
歩く時も外股になってしまいます。
さらに、筋肉でいうと、大殿筋、腹直筋などを使うことになりますが、これらの筋肉はアウターマッスルといって、身体全体に大きめの力が入ってしまいます。
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一般には、多くの場合にこの方法で腰を開いていると思います。

それに対して、お尻といってももっと上の方、腰骨(腸骨の上部)あたりをしめる感じだと、上の方にある仙腸関節を使ってお尻をしめた状態になります。
筋肉でいうと、もちろん先にあげた筋肉も使いますが、腸腰筋、腹横筋などのインナーマッスルを主に使うことになります。
このようにインナーマッスルを使って腰を開くと、身体に少しの力しか入りませんから力むことなく、さらに股関節も自由になるので脚をスムーズに動かすことが出来ます。
歩く時は、爪先を真っ直ぐ前に向けて歩きましょう。
この腰の開き方は難しいと思いますが、これこそまさに“技”なのです。

以上のように、一口に“腰を開く”“お尻をしめる”といっても、内容は微妙に違います。股関節を使うことは簡単ですが、この仙腸関節を動かすということは一般には解りずらい感覚だと思いますが、その点をしっかり区別して行えば、社交ダンスだけでなく様々な分野での運動の質が向上するはずです。