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2013年3月

腕の要の胸骨に注目

これまでは腰について考えてきましたが、これからは肩周辺について考えてみます。
体幹部を構成している骨は3つのグループに分類できます。
上肢つまり肩の部分は鎖骨・肩甲骨であり、下肢つまり腰の部分は腸骨・仙骨・坐骨・恥骨であり、その間つまり胴の部分は背骨(頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨)・肋骨・胸骨です。
姿勢に関する骨としては、背骨は一般によく知られているのですが、正確には後の背骨と前の胸骨が姿勢を調節していて、それを肋骨が繋いでいるという構造になっています。
それにしては、上にあげた骨の中では胸骨というのが一番知られていないように思います。

そこで、上体でのキーポイントともいえる胸骨に注目してもらいます。

脚と体幹部を繋いでいるのが仙骨であるとすれば、腕と体幹部を繋いでいるのが胸骨といえます。
脚と腕との構造を比べると、仙骨に相当するのが胸骨であり、腸骨に相当するのが鎖骨・肩甲骨であ

     胸鎖関節.gif  

り、仙腸関節に相当するのが胸鎖関節、肩鎖関節であり、大腿骨に相当するのが上腕骨であり、股関節に相当するのが肩甲上腕関節ということになると思います。
脚よりも、腕の方がより運動性が良いように、肩の部分の骨と関節の方が多くなっているのでしょう。
このように、腰の要は仙骨なので、仙腸関節の動かし方が重要であるのに対して、腕の要は胸骨ということで、胸鎖関節の動かし方が重要ということになります。
一般には、腕を動かすには肩甲上腕関節(簡単に言うと肩の関節)、脚を動かすには股関節だけを考えがちですが、外からは見えにくい胸鎖関節と仙腸関節の2つの関節が私たちが運動する時の最も大事な関節だということを知りましょう。

ですから、社交ダンスを踊る時に、良い姿勢を作る為には背骨だけでなく胸骨を意識することも重要であり、かつスタンダードのホールドやラテンのアームの動きに関しても、胸骨に続く鎖骨の動きが重要になってきます。

仙骨と健康

私の周辺では、社交ダンスを習うと健康になるという話をよく聞きます。
その反面、ジャズダンスを教えているある知人から「社交ダンスをしている人は皆、身体のあちこちが悪くなるそうですね」と言われて、ガックリしてしまった事がありましたが、このような世間の評価があるのも事実なのでしょう。
運動不足の人が社交ダンスを習うようになって、良い運動が出来、健康になることはありますが、これは社交ダンスに限ったことではなく、ジョギングする人も、他のダンスを習う人も、スポーツをする人も初期的には皆同じだと思います。
しかし、長期的には、スポーツでは目的の為に身体を無理に使うことで身体を多かれ少なかれ壊すことが宿命的にあると思いますが、社交ダンスではそのようなことがあってはいけないのです。
ところが、社交ダンスでも間違った身体の使い方をすると、健康になるどころか、逆に身体を悪くすることになります。
いわゆる “スポーツダンス”などと言っている人たちにこれは多いと思います。

「腰痛で病院に行ってもなかなか治りません。治ってもすぐに再発するという方が多い。それは、腰痛だから腰椎に原因があるという前提で診断するからであって、西洋医学ではいまだに確立した治療法を持っていないのです。 腰痛・椎間板ヘルニア・膝痛・頸椎症などの原因は、ほとんどが仙腸関節が固まっているからで、仙腸関節をゆるめれば99%治ります」と書いてある本を、最近読みました。
もちろん99%とは信じられませんが、私は以前から、“肉より骨”と言って、筋肉よりも、いかに骨、つまり関節を動かすかが大事であるかということを言ってきましたので、この本の内容にはとても共感を覚えました。
その本をすべて鵜呑みにはできませんが、私自身、過去現在にわたって、それらの関節痛というものに悩まされたことがないということと、現在私がある期間以上個人レッスンをしている生徒さんにも、そのような関節痛に悩んでいる方はいないようだということを考え合わせると、やはり仙腸関節の重要性は真実であると思います。
逆に、生徒さんの中には、以前痛めていたのが良くなってきたという方は何人もいます。

仙腸関節をより上手く使って踊るように練習していけば、社交ダンスが上手くなるだけでなく、身体に柔軟性が出来てきて、さまざまな関節痛を経験することがなく、或いはすでに関節痛になっている方は自然に良くなってきて健康な身体になる、と私は確信しています。

仙骨とダンス

それでは、社交ダンスを踊る上で、仙骨をどのように意識するのかを説明します。

先ず、首のすらっと伸びた正しい姿勢を作る為には、仙骨から背骨・首を伸ばすように意識してください。
仙腸関節で腰を開いてから、つまり最初は仙骨をしっかりと固定してから、骨盤の中あたりから上へ伸ばしていく感じです。
仙骨がしっかりと固定されていないと、その上の背骨(腰椎・胸椎・頸椎)は伸びません。
それに比べて、胸のあたり、つまり胸椎から首を伸ばそうとすると、腕や肩に力の入った窮屈で最悪な姿勢になります。
これは、胸式呼吸をしたような状態です。
又、お腹のあたり、つまり腰椎から首を伸ばそうとすると、でっちりで腹を突き出した姿勢になります。
悪い意味での腹式呼吸の形です。
多くの方は、このように仙骨が有効に使われていないのです。

今月は中級と専科でタンゴのレッスンをしていますが、今回のレッスンのポイントは“ステップした足の上に仙骨を乗せない、通過させない”ということです。
(仙骨という言葉の代わりにお臍といっているクラスもあります)
誰でもご存じのクローズド・プロムナードを例にとってみます。
一歩目の足(男性は左足、女性は右足)に仙骨を乗せると、しっかり床を踏みしめた感覚になると思いますが、「ウッ」となって、呼吸が窮屈になり、足の動きだけでなく身体全体の動きが格段に悪くなります。
この感じはすべてのステップで同様であると思ってください。
逆に、体重足の上に仙骨を乗せないようにすると、呼吸が楽で、身体とステップ脚の動きがとてもスムースになります。
これは、仙骨が足の上に乗ると、力仕事をする時のような身体を動かさない時にはどっしりと安定するのですが、反対に、ダンスを踊っている時のように身体を動かす時にはブレーキになってしまうからなのです。

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