仙骨とダンス

それでは、社交ダンスを踊る上で、仙骨をどのように意識するのかを説明します。

先ず、首のすらっと伸びた正しい姿勢を作る為には、仙骨から背骨・首を伸ばすように意識してください。
仙腸関節で腰を開いてから、つまり最初は仙骨をしっかりと固定してから、骨盤の中あたりから上へ伸ばしていく感じです。
仙骨がしっかりと固定されていないと、その上の背骨(腰椎・胸椎・頸椎)は伸びません。
それに比べて、胸のあたり、つまり胸椎から首を伸ばそうとすると、腕や肩に力の入った窮屈で最悪な姿勢になります。
これは、胸式呼吸をしたような状態です。
又、お腹のあたり、つまり腰椎から首を伸ばそうとすると、でっちりで腹を突き出した姿勢になります。
悪い意味での腹式呼吸の形です。
多くの方は、このように仙骨が有効に使われていないのです。

今月は中級と専科でタンゴのレッスンをしていますが、今回のレッスンのポイントは“ステップした足の上に仙骨を乗せない、通過させない”ということです。
(仙骨という言葉の代わりにお臍といっているクラスもあります)
誰でもご存じのクローズド・プロムナードを例にとってみます。
一歩目の足(男性は左足、女性は右足)に仙骨を乗せると、しっかり床を踏みしめた感覚になると思いますが、「ウッ」となって、呼吸が窮屈になり、足の動きだけでなく身体全体の動きが格段に悪くなります。
この感じはすべてのステップで同様であると思ってください。
逆に、体重足の上に仙骨を乗せないようにすると、呼吸が楽で、身体とステップ脚の動きがとてもスムースになります。
これは、仙骨が足の上に乗ると、力仕事をする時のような身体を動かさない時にはどっしりと安定するのですが、反対に、ダンスを踊っている時のように身体を動かす時にはブレーキになってしまうからなのです。