腕の要の胸骨に注目

これまでは腰について考えてきましたが、これからは肩周辺について考えてみます。
体幹部を構成している骨は3つのグループに分類できます。
上肢つまり肩の部分は鎖骨・肩甲骨であり、下肢つまり腰の部分は腸骨・仙骨・坐骨・恥骨であり、その間つまり胴の部分は背骨(頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨)・肋骨・胸骨です。
姿勢に関する骨としては、背骨は一般によく知られているのですが、正確には後の背骨と前の胸骨が姿勢を調節していて、それを肋骨が繋いでいるという構造になっています。
それにしては、上にあげた骨の中では胸骨というのが一番知られていないように思います。

そこで、上体でのキーポイントともいえる胸骨に注目してもらいます。

脚と体幹部を繋いでいるのが仙骨であるとすれば、腕と体幹部を繋いでいるのが胸骨といえます。
脚と腕との構造を比べると、仙骨に相当するのが胸骨であり、腸骨に相当するのが鎖骨・肩甲骨であ

り、仙腸関節に相当するのが胸鎖関節、肩鎖関節であり、大腿骨に相当するのが上腕骨であり、股関節に相当するのが肩甲上腕関節ということになると思います。
脚よりも、腕の方がより運動性が良いように、肩の部分の骨と関節の方が多くなっているのでしょう。
このように、腰の要は仙骨なので、仙腸関節の動かし方が重要であるのに対して、腕の要は胸骨ということで、胸鎖関節の動かし方が重要ということになります。
一般には、腕を動かすには肩甲上腕関節(簡単に言うと肩の関節)、脚を動かすには股関節だけを考えがちですが、外からは見えにくい胸鎖関節と仙腸関節の2つの関節が私たちが運動する時の最も大事な関節だということを知りましょう。

ですから、社交ダンスを踊る時に、良い姿勢を作る為には背骨だけでなく胸骨を意識することも重要であり、かつスタンダードのホールドやラテンのアームの動きに関しても、胸骨に続く鎖骨の動きが重要になってきます。