胸骨を上に

胸骨は、背骨と肋骨と共同して胸郭を形成しているのですが、解剖学の本などを見ても、特にこれといった働きが説明されていないようです。
そこで、社交ダンスを通して胸骨の働きを考えてみます。
胸骨は又、背骨と肋骨と共同して姿勢も作っています。
良い姿勢を作るには、仙骨をしっかり安定させて、背骨を伸ばすことが大事ですが、それだけでは不十分で、それに加えて胸骨を吊り上げることも必要になります。
背骨と胸骨を一体として伸ばすと肩に力が入り、身体が固まってしまいます。
最初に背骨を伸ばし、その後に、背骨に対して胸骨をずらすように吊り上げることです。
このようにすると、上体から力が抜けた本当の意味での良い姿勢になります。
そうすると、スタンダード種目の男性はより大きく身体が伸び、女性はより大きな身体のアーチを作ることが出来ます。
女性に関しては、あの“南京玉すだれ”を頭に浮かべてみると、イメージがわくのではないでしょうか。。
ラテン種目では、脚と腕の激しい動きに崩されないしっかりとした上体を作ります。
ダンスを踊っている時に、普通の上手い人は背骨だけで身体を伸ばしている人、非常に上手い人は背骨・胸骨と2段階で身体を伸ばしている人だと言えるでしょう。

整体という医療では、胸骨体操といって、胸骨を持ち上げる体操をさせるそうです。
胸骨が下がっていると胸郭が狭くなって、肺や心臓を圧迫することになり、内臓の面での健康に悪い影響を及ぼすのでしょう。
ですから、胸骨は私の考える呼吸法にも重要な役目を果たしています。
胸骨を伸ばす時に邪魔するのが腹筋(腹直筋)です。
腹筋に力を入れ過ぎると、腹筋が固まり、胸骨を引き下げる力が働いてしまいますので注意が必要です。