腰の3軸をずらす

   身体を3軸に分けることが理解出来たら、その3軸をどのように動かすかが問題になります。
 最も基本的で重要なことは、中心軸を上へ、左右軸を下へずらすことです。決して、3軸を固めてしまわないことです。
つまり、中心軸とは身体の本体の部分であり、左右軸はこの身体の本体を移動させる働きをします。
 まず、腰の部分から説明します。
 腰の3軸が固まっていては、つまり骨盤の両腸骨と仙骨とが固まっていれば(腰が固い状態)、左右軸の脚を動かした時に、身体の本体が不安定になってしまいます。
中心軸と左右軸の間に遊びを作ることにより(腰が柔らかい状態)、脚のさまざまな動きに対して身体の本体が常に安定していられるのです。
この時に、中心軸、つまり仙骨・恥骨が下に、左右軸、つまり両腸骨が上にずれていると、腰は柔らかくても、よく言われる「へっぴり腰」「腰が抜けた」状態になり、運動する上での悪い形になります。
逆に、中心軸を上に、左右軸を下にずらすように意識することが非常に重要で、そうすると「腰が入った」状態になり、良い姿勢で、力が入り過ぎないで、身体全体がしっかりした、運動する上での最も重要な基本形となります。
この時の腰の感覚が、よく言われる「丹田に意識を持つ」という状態だと私は考えます。
ここで気をつけることは、腸骨が下にずれないで、前へもぐりこんでしまうことです。
これだと、ヒップが落ちて、背中が丸まった姿勢になってしまいます。

   次のような実験をしてもらうと、腰が入った良い状態が理解できると思います。
最初に、普通にして、或は中心軸を下に、左右軸を上にずらすように意識して、両脚を少し開いて立ってみてください。
その状態で、誰かに前からドンと肩あたりを強く押してもらってください。 たぶん、バランスが崩れて、グラグラっと後へ崩れてしまうかもしれません。
次に、今とは逆に、ここで説明しているように身体の中心軸を上へ、左右軸を下へずらすように意識して同じことをやってもらってください。
力を入れて身構えなくても、足が床に吸いついているかのように、バランスが崩れなかったら、その時あなたは腰の3軸のずれが出来ているのです。