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学院長ブログ

首の動き(1)

 社交ダンスを踊る上で、他のダンスやスポーツと同様に首の動きはとても重要ですが、特にボールルーム種目でのトッププロの女性のネックラインは、とても大きくて美しいものです。
しかし、外見上の美しさだけに目がいきがちですが、“首の動き”というものは、上手い人ほど身体全体の動き(ムーブメント)にも大きな影響を与えています。
そしてそれは、女性の専売特許のように考えられていると思いますが、男性についても全く同じことが言えるので、男性もしっかりと研究してほしいと思います

これからの話は、初心者から中級者までの方には少し難しいし、そこまで考える余裕がないかもしれませんが、上級者を目指している方は、ぜひ知っていてほしいと思います。

  先ず、“首の動き”を考える上で、外見から考えるとそのとおりに首の動きなのですが、首を構造的にみると背骨の一部である頸椎(けいつい)
ということなので、首の動きとは背骨の動きであると認識することが重要です。
ですから、姿勢の悪い状態、つまり背骨が伸びていないと良い“首の動き”は不可能だということになります。
ラジオ体操で、首の体操があります。
首を前後に倒す、首を左右に倒す、首を回す・・・などがありますが、これらの体操を単に肩の上に乗っている首だけの動作として行うことは、あまり意味のないこと、或は身体を痛めることにもなりかねないと思います。
首の体操は、背骨を伸ばす、背骨を骨盤から回す、という運動だけで十分だと私は思います。
ですから、私は首の準備体操としては、首を上へ伸ばすことと、肩に対して首を左右にねじり上げることしかやりません。

“ねじる”と“ずらす”(2)

社交ダンスをうまく踊る技術というものは、いかに“ねじる”動作をしないで“ずらす”動作をするかということだともいえると思います。
“ねじる”動作は、関節が固まって窮屈になる、呼吸が止まるという身体の状態をひきおこし、社交ダンスでは力が入り過ぎて、パートナーと力がぶつかってスムーズな流れるような動きを妨げてしまいます。
それに対して、“ずらす”動作は関節を拡げ、呼吸が止まらないで、身体からよけいな力が抜けて、社交ダンスのスタンダード種目では、お互いが前にいるのかいないのかわからないように柔らかく踊ることができます。


その一例として、ワルツでのホールドを考えてみます。
一般には、片方の肘からもう片方の肘まで、一本のパイプのような状態を作って、それを壊さないように動かすものと考えられていると思います。
その状態でホールドを回すと、腰に対して“ねじる”動きになってしまいます。
そのような“ねじる”動きをすると、必ず息が止まり、身体が窮屈になります。
しかし、正しいホールドは、左右の鎖骨で左のホールドと右のホールドを前後にずらしているのです。
この状態でホールドを回しても、息は止まらないし、身体が窮屈にもなりません。
全く質の違う動きができてくるのです。

次に、ステップをする時の骨盤を考えてみます。
左右の脚の動きは、必ず左右の骨盤から動かします。
その時に、骨盤を固めていると、骨盤は一体で回転して、脚に対してねじれるように動いてしまいます。
この場合も、左右の脚を前進させる時は、左右の骨盤を別々にして、前後に“ずらす”ように動かすのです。

パソドブレ(2)

 パソドブレは社交ダンスの種目の中では最もドラマチックである為に、トッププロの踊りを見ていると、それぞれのステップ毎に闘牛場の情景というものが目に浮かんでくるようです。
そこでは、男性は闘牛士であることは誰でも考えることですが、女性を牛だと思っている方が多いと思いますが、それでは女性が少しかわいそうな気がします。
実は、女性は牛、ケープ、闘牛士の影など、1人何役も多彩に演技をしているのだと私は解釈しています。
しかし、ステップ毎に役割が決まっているのではなく、踊る人が自分でそれぞれの場面でイメージして踊るものです。
それだからこそ、ダンスであり、又パソドブレが他の種目と違った面白味がある要因でもあると思います。
そういう訳で、私は私なりに闘牛場の情景をイメージして皆さんにレッスンをしています。

 そのヒントの1つとして、私はパソドブレのウォークに注目します。
ヒールから前進するウォークを、パソドブレではマーチ(行進)といいますから、これは闘牛士が行進している情景を表していると思います。
一方、ボールから前進するウォークがパソドブレではベーシックウォークというので、これは牛の歩いている姿だと考えます。
ですから例えば、シックスティーンの場合は、女性もヒールから前進していますから、これは牛ではなく、ケープなどの闘牛士側をイメージすることができます。
又、セパレーションの後半のように、女性がボールで前進する場面は、牛をイメージということになります。

 もう1つのヒントとして、同じステップでも、女性が男性の方を少し下から見上げる場合は牛をイメージし、男性と同じ方向を見る時は、ケープか闘牛士の影をイメージすることができると思います。
つまり、同じステップでも解釈を変えることによって女性の顔の向きが変わるということです。
他にもいろいろと考えられますので、皆さんもそれぞれご自分のイメージを持って練習してみると、もっとパソドブレが身近で楽しいものになるのではないでしょうか。

パソドブレ(1)

 今月の中級はパソドブレですね。
パソドブレは、好きな方と嫌いな方とが極端に分かれる種目ですが、たまに「パソドブレの月はパス!!」などと言って、休む不届きな方(言葉がきつくてすみません!)がいるように、苦手な方のほうが多いようです。
嫌いな理由としては、パーティなどで普段踊る機会が少ない為に、覚えてもしょうがないと考えるのでしょうが、サークルと違って学院としては、社交ダンスの正式種目は常識程度には踊れてほしいと考えています

又、うまく身体を使わないと、何をやっているのか手ごたえが掴めないということもあるようですが、逆に私としては、パソドブレは身体の使い方を教えやすい種目だと思っていますし、できてくるとパソドブレがかなり味わいのあるダンスだということが解ってくると思います。


 さて、パソドブレは皆さんもご存じのように、闘牛を表現している社交ダンスですので、少しでも闘牛についての知識が増すと楽しく踊れるのではないでしょうか。
そこで、少しばかり闘牛について説明しておきます。

 現代のような闘牛が出来上がったのは18世紀頃といわれ、スペインが本場ですが、以前はフランスやイタリア、そしてその植民地などでも行われていたようです。
闘牛のことを“コリーダ”といい、闘牛士はマタドール、トレーロ、エスパーダなどといろいろな言葉がありますが、マタドールが一番知られているようですね。
パソドブレのステップ名として使われるケープという布は、正式には“カパ”、闘牛士の見せ場である、牛に突っ込ませて体をかわすことを“パセ”。
とどめ用の短剣を“プンティーリャ”、とどめの一撃を“エストカーダ”といいます。
だんだんカッコいい闘牛士の姿が見えてくるようですね。
そのように闘牛というと、男性的、エキサイト、スペクタクル・・・というようなイメージがありますが、しかし、中世や近世の闘牛は、民衆の暴力趣味を満たすためのものでもあったので、物凄く残酷でグロテスクなものだったそうです。
しかし近年は、動物愛護団体だけでなく、社会的な反対運動もあって、かなりソフトな形に変わってきているということで、しかも、闘牛の開催も減少してきているということです。

“ねじる”と“ずらす”(1)

 学院の社交ダンスのクラスレッスンでは、必ず最初に行う準備体操がありますね。
これは、“2軸体操”という私のオリジナルの体操ですので、学院でだけしかやっていないと思います。
ですから、学院生でないとこれからの話は少し解りにくいのではないかと思いつつお話しいたします。

 新しく入会された生徒の方々は、初めのうちは何をやらされているのか理解できずに、ほとんどの方は、上半身に対して下半身を“ねじる”ようにやってしまいますが、
この体操は“ねじる”のではなく、身体を縦に2軸に分けて、左右の身体を“ずらす”ように動いてもらいたいのです。
うまくやると、やっている人も支えている人も身体が軽く、柔らかく、そして心地よい感覚になると思いますが、逆に上手く出来ていないと、2人とも力が入り、身体が衝突して、疲れてしまうと思います。
つまり、社交ダンスを踊っている時もこれと同じように、身体を“ねじる”のではなく、身体の左右を“ずらす”ようにして踊ると、身体から力が抜けて、そしてお互いに心地よく楽しく踊れるのです。

 具体的に説明しますと・・・肩を回すという動作は、腰に対して回転する動作、つまり“ねじる”動作になりますが、うまく肩を回しているように見える人は、ただ回しているように見えても、実は左右の鎖骨・肩甲骨をほんの少しだけ“ずらし”ながら回しているのです。
ですから、正確に言うと、回転しているのではないのです。
左右の鎖骨・肩甲骨を固めて回転している人は、身体に必要以上の力が入り、身体のバランスを崩し、良い運動ができないのです。
腰を回すという動作も、両足を揃えて両膝を伸ばしたまま回すと、骨盤が固まったまま脚から“ねじれ”ます。
両足両膝をうまく使うと、左右の骨盤が“ずれる”動きができます。

 レッスンのはじめに2軸体操をする時には、身体を“ねじる”のではなく“ずらす”という感覚を、ぜひ磨いてください。

京王線に乗って

 「どこへ行くにも自動車」生活の私ですが、時々京王線に乗って新宿まで出かけることもあります。
たまに1人で電車に乗っても、いろいろと考えていると、結構退屈はしないものですね。
例えば・・・車内を見渡すと、背中を丸めて座っている人の多いことに目が向いてしまいます。
男性の多くは、足の爪先を外に開いて座っていますが、座った(つまり腰が抜けた)状態で爪先を外に開くと、背骨を伸ばしにくくなるからで、背中が丸まるのは当然のことと思います。
将来の頸椎症、腰痛、膝関節症等の予備軍だな、或はもうすでに痛めているかもしれないな、などと想像してしまいます。
逆に、女性の多くは、足の爪先を内に向けている方が多く、男性の外向きよりは少しはましかな、というところです。
そして、たまに、両足の爪先を平行にしている方を見かけます。
シートに深く座って、腰巾に膝を少し広げて(ミニスカートの女性は無理かな?)、その巾で両足の爪先を真っ直ぐ前に向けて座ると、背骨を真っ直ぐに伸ばして正しく座れます。
そういう人を見ると、きっとこの方は身体が健康なんだろうな、と思います。

 新宿駅について、駅構内や地下道を歩いていても、同じように、向かい側から歩いてくる人の爪先に目が行きます。
やはり、爪先を外に向けて歩いている人が圧倒的に多いのです。
これも、脚を腰巾にして、爪先を真っ直ぐ前方に向けて歩くと、姿勢良く、疲れないで、そして速く歩けるのになあ、と思います。
これらの足の使い方は、社交ダンスのスタンダード種目を踊る時の基本となる、“2軸2トラック”歩行ということになります。

 生徒さんからも「最近は、歩いている人の姿勢や歩き方に、自然に目が行ってしまう」という話をよく聞くようになりましたが、私と同じような感覚になってきているのかな、と内心しめしめと思っています。

たかが鎖骨されど鎖骨(3)

 鎖骨をずらす話をしていますが、鎖骨に意識を持ってくると上体に力が入りすぎてしまうかもしれません。
そこで、鎖骨を充分に意識出来るようになってきたら、身体全体をフワッとさせるようにすると柔らかく踊れるようになります。
他にも、ほんの少し鎖骨をずらしただけで、身体の動作が非常に向上することがたくさんありますが、又の機会にお話しすることにします。

 私が、社交ダンスを教える上で鎖骨に注目するようになったきっかけは、以前にヴァイオリンを習っていた時でした。
その時、先生が手を使わなくても、あごと左鎖骨だけで簡単にヴァイオリンを支え、かつ操作することができることにとても驚きました。
ヴァイオリン奏者ほど、鎖骨を意識して使っている人は他にいないのではないでしょうか。
皆さんもちょっと想像してみてください。
左へ大きなラインを出してワルツを踊っている女性と、ヴァイオリン奏者の左へのラインはすごく似ていませんか。
ヴァイオリンの方があごで挟んでいる分、いくらか顔が立っているようではありますが。

 “整体”では、身体の異常を知る為に鎖骨の動きを探ったり、或は鎖骨の可動性がいい人は身体の動きが相当良くなる、と言います。
リンパマッサージでは、1番大切なリンパ節は鎖骨リンパ節、特に左鎖骨リンパ節だということです。
社交ダンスは健康に良い、とはよく言われていますが、ただカロリーを消費するので健康に良いというのでは社交ダンスの本質が解っていないと思います。
健康に、楽しく、そしてより美しく踊る為には、身体の各関節を上手く合理的に使うこと、その為には鎖骨にもっと目を向けてはいかがでしょう。

たかが鎖骨されど鎖骨(2)

 スタンダード種目には、大きく分けて、右回り系のステップと左回り系のステップがあります。
例えばワルツでいうと、右回り系のステップの基本がナチュラルターンで、左回り系のステップの基本がリバースターンです。
多くの皆さんは、この2つのステップは、右と左と全く逆に同じ動作をしていると思っているのではないでしょうか。
しかし、鎖骨のわずかな動きで考えると、微妙に右と左では違う動作をしているのです。
“左鎖骨前、右鎖骨後”で鎖骨をずらしていると、左足も右足も鎖骨から動かすという前提で、結果的に、左足前進は少し大きくなり、右足前進は少し小さくなります。
もちろん、左足後退は少し小さくなり、右足後退は少し大きくなります。
これはほんの少しのことですが、とても重要なことです。

 そういう訳で、ステップは大きめにした方が良いのですが、何でもかんでも大きくではまずいのです。
ナチュラルターンの男性の1歩目の右足を大きくとり過ぎると、“右鎖骨前、左鎖骨後”になってしまい、その結果左足の2歩目が小さくなり、女性に対して壁側に回り込めなくなっている男性を多く見かけます。
逆に、リバースターンの男性の1歩目の左足は、鎖骨のずれを利用すると大きなステップになり、2歩目は女性に対して中央側に回り込む必要がないのでやや小さいステップで良いのです。
もちろん、女性のステップにも同じことが言えます。
ですから、どちらかというと、ナチュラルターンは2歩目にスイングがかかり、リバースターンは1歩目にスイングがかかる感じになるのではないでしょうか。

 つまり、男性と女性が互いに左にずれて組んでいるので、左回転と右回転が微妙に違い、それに対応する為に鎖骨のずれが重要になってくるのです。
他の種目や他のステップでも、すべて同じことが言えます。

たかが鎖骨されど鎖骨

 ほんのわずかしか動かない鎖骨、言われないと、あることさえ気がつかない鎖骨ですが、実は、その動きは体中のあちこちの関節や筋肉と関連して、身体の動きに大きな影響を与えているのです。
ですからもちろん、社交ダンスを踊る時にも重要なポイントとなってきます。

 それでは、鎖骨がネックラインに及ぼす影響を考えてみます。
首は頸椎(けいつい)、つまり背骨の最上部となります。
日常的には、背骨を伸ばせば首が伸び姿勢が良くなるのですが、スタンダード種目のホールドをする時には、ただ鎖骨を並べて背骨を伸ばしても、身体は固まってしまい、柔軟な動きはできません。
そこで、前回に説明した“左鎖骨前、右鎖骨後”にずらし、男性も女性も、前にずらした左鎖骨の上から首(背骨)を伸ばすようにすると、グーンと首が伸び、特に女性はネックのバックラインが大きくとれるのです。
さらに、向かい合った2人のそれぞれの左鎖骨から首が伸びる感じになるので、スタンダード種目に必要な大きくて美しい形ができるのです。
プロムナードポジションやスウェイをした時に、顔を右に向けることが良く出てきますが、この場合も左鎖骨の上に首を置いて右を向いてください。
多くの皆さんは、首が左鎖骨から外れて右を向いてしまうので、身体のバランスを崩してしまうのです。

 頭蓋骨(ずがいこつ)と鎖骨をつないでいる重要な筋肉に、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)というものがあります。
首の左右にあって、首を左右に回す為の筋肉ですので、例えば、首を左に向けると
首の右側に縦に大きく出てくる筋肉です。
ホールドをする時に、鎖骨をずらしておいて、首をいくらか左に回しながら背骨を伸ばすと、その筋肉が伸びるのを実感できると思います。

鎖骨について(2)

 スタンダード種目での両腕の使い方は、2人が一体となって踊る為のしっかりとした枠を作ることが重要だと、一般的には考えられているのではないでしょうか。
しかし、2人が一体となりつつ、より自由に身体を動かせる為のホールドを作ることも重要なことなのです。
上級者を目指す多くの皆さんは、しっかりしたホールドを作ることだけに意識が向いていることが、上達の妨げになっているのではないかと思います。

 そのような、より良いホールドを作る為には鎖骨から腕を考えなくてはいけないのです。
左右の鎖骨を固めてしまうと、力仕事には良いのですが、身体の運動能力が落ちてしまいます。
例えば、膝を曲げる時などに腰が抜けやすく、しっかりしたロアーができなくなります。
そこで、左右の鎖骨を前後にずらして使うと良いのですが、スタンダード種目では多くの場合、男性も女性も左鎖骨を前に、右鎖骨を後ろにずらすと良いと思います。
そしてもう一つ大事なことは、前にずらした左鎖骨の上から首のラインを伸ばすように意識することです。
体幹部の関節なので、外から見てもそのズレはほとんど解らないほどなのですが、手で触るとそのわずかな動きが解ると思います。
同じずらしても、逆に右鎖骨を前に、左鎖骨を後ろにずらすと、男性の場合は右肩が上がったり、女性を抱え込んでしまう悪いホールドになってしまいます。
女性の場合には、左腕で男性を抱え込んでしまい、左への大きなネックラインが出なくなってしまいます。
逆に、男性でも女性でも、顔が左に向き過ぎていると左鎖骨が後ろへずれてしまうことになります。

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