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2011年5月

たかが鎖骨されど鎖骨

 ほんのわずかしか動かない鎖骨、言われないと、あることさえ気がつかない鎖骨ですが、実は、その動きは体中のあちこちの関節や筋肉と関連して、身体の動きに大きな影響を与えているのです。
ですからもちろん、社交ダンスを踊る時にも重要なポイントとなってきます。

 それでは、鎖骨がネックラインに及ぼす影響を考えてみます。
首は頸椎(けいつい)、つまり背骨の最上部となります。
日常的には、背骨を伸ばせば首が伸び姿勢が良くなるのですが、スタンダード種目のホールドをする時には、ただ鎖骨を並べて背骨を伸ばしても、身体は固まってしまい、柔軟な動きはできません。
そこで、前回に説明した“左鎖骨前、右鎖骨後”にずらし、男性も女性も、前にずらした左鎖骨の上から首(背骨)を伸ばすようにすると、グーンと首が伸び、特に女性はネックのバックラインが大きくとれるのです。
さらに、向かい合った2人のそれぞれの左鎖骨から首が伸びる感じになるので、スタンダード種目に必要な大きくて美しい形ができるのです。
プロムナードポジションやスウェイをした時に、顔を右に向けることが良く出てきますが、この場合も左鎖骨の上に首を置いて右を向いてください。
多くの皆さんは、首が左鎖骨から外れて右を向いてしまうので、身体のバランスを崩してしまうのです。

 頭蓋骨(ずがいこつ)と鎖骨をつないでいる重要な筋肉に、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)というものがあります。
首の左右にあって、首を左右に回す為の筋肉ですので、例えば、首を左に向けると
首の右側に縦に大きく出てくる筋肉です。
ホールドをする時に、鎖骨をずらしておいて、首をいくらか左に回しながら背骨を伸ばすと、その筋肉が伸びるのを実感できると思います。

鎖骨について(2)

 スタンダード種目での両腕の使い方は、2人が一体となって踊る為のしっかりとした枠を作ることが重要だと、一般的には考えられているのではないでしょうか。
しかし、2人が一体となりつつ、より自由に身体を動かせる為のホールドを作ることも重要なことなのです。
上級者を目指す多くの皆さんは、しっかりしたホールドを作ることだけに意識が向いていることが、上達の妨げになっているのではないかと思います。

 そのような、より良いホールドを作る為には鎖骨から腕を考えなくてはいけないのです。
左右の鎖骨を固めてしまうと、力仕事には良いのですが、身体の運動能力が落ちてしまいます。
例えば、膝を曲げる時などに腰が抜けやすく、しっかりしたロアーができなくなります。
そこで、左右の鎖骨を前後にずらして使うと良いのですが、スタンダード種目では多くの場合、男性も女性も左鎖骨を前に、右鎖骨を後ろにずらすと良いと思います。
そしてもう一つ大事なことは、前にずらした左鎖骨の上から首のラインを伸ばすように意識することです。
体幹部の関節なので、外から見てもそのズレはほとんど解らないほどなのですが、手で触るとそのわずかな動きが解ると思います。
同じずらしても、逆に右鎖骨を前に、左鎖骨を後ろにずらすと、男性の場合は右肩が上がったり、女性を抱え込んでしまう悪いホールドになってしまいます。
女性の場合には、左腕で男性を抱え込んでしまい、左への大きなネックラインが出なくなってしまいます。
逆に、男性でも女性でも、顔が左に向き過ぎていると左鎖骨が後ろへずれてしまうことになります。

鎖骨について(1)

 社交ダンスは脚(あし)でステップを踏むのですが、上級者になればなるほど脚だけでなく、腕の使い方も重要になってくることは、皆さんもご存じだと思います。
その腕について、一般的には、目に見える肩から先の部分を考える方が多いようですが、解剖学的には、身体の中心から、鎖骨、肩甲骨、上腕、前腕そして手となります。
最近は、マスコミなどで肩甲骨の重要性がクローズアップされてきていますが、腕の一番の基点となっている鎖骨については、その重要性に比べてまだまだ注目度が低すぎる現状ではないでしょうか。

 鎖骨を動かすといっても、外から見てほとんど動いているようには見えませんが、首の下の両鎖骨に手のひらを軽く当てて、もう片方の腕を動かしてみると,僅かに鎖骨が動くのが自覚できると思います。
鎖骨の動きとは、体幹部にある骨なので、それほど大きな動きができるわけではなく、とても微妙な動きをするのですが、私は感覚的にいって次の2つの使い方に注目しています。
両腕で重い荷物を持つなどの力仕事をする場合には左右の鎖骨を一体化して使うことが大事なのですが、逆に両腕で違う動作をする場合には、力を入れないでしっかりと身体を使えるようにする為に、左右の鎖骨を僅かに前後にずらすことが大事だと思います。
これは技ですね。
私たちの社交ダンスは、もちろん技を使うわけです。

 現在は、鎖骨という言葉の社会の認識が低いわりに、「鎖骨美人」という言葉があり、いつの頃に生まれた言葉かは解りませんが、きっとその時代には今と違って人々の鎖骨への意識がもっと高かったのではないかと推察します。

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