つぎに、肩の部分を説明します。
腰と同じように、左右の腕を動かした時に、3軸が固まっていては、つまり胸椎・胸骨に対して両鎖骨・両肩甲骨が固まっていれば(肩が固い状態)、身体の本体が不安定になってしまいます。
中心軸と左右軸の間に遊びを作ることにより、腕のさまざまな動きに対してからだの本体が常に安定していられるのです。
しかしこの時に、中心軸、つまり胸椎・胸骨が下に、左右軸、つまり両鎖骨・両肩甲骨が上にずれていると、肩が上がった、いわゆる「いかり肩」になってしまいます。
スポーツなどで、よく言われる「肩に力が入る」悪い状態です。
逆に、中心軸を上へ、左右軸を下にずらすように意識することが非常に重要で、そうすると「なで肩」となり、肩の力が抜けた「肩が柔らかい」という状態になり、背骨を上へ伸ばすことができます。
ここで注意すべきことは、肩と肩甲骨を下す時に、肩を回して前へ少しもぐりこませてしまうことです。
多くの方は、このような勘違いをしてしまうようですが、これでは背骨が上へ伸びないで、肩がロックされた状態になってしまいます。
肩の3軸のずれも、やはり実験で確かめることが出来ます。
誰かと腕相撲をしてみてください。
筋肉の量やテクニック(手首を巻き込む)などの諸条件があるので、相手との勝ち負けは気にしないで、ここでは守り専門にしてください。
最初に、自分の腕に力を入れて、つまり肩を固めた状態で相手に攻撃してもらってください。
こらえられても、負けてもどちらでも構いませんが、しっかりやってみてください。
次に、身体の中心軸を上に、肩と肩甲骨を下にずらしてやってみてください。
このようにすると、さっきより自分の腕に力が感じられませんね。
今回も、こらえられても、負けてもどちらでも構いませんがしっかりとやってみてください。
うまくずらせると、相手は、あなたの今回の方が前よりも力が入っていないのに、手応えがしっかりしていると感じるはずです。
つまりそれは、腕の力ではなく、身体の使い方の違いから腕がしっかりと使えているのです。
これこそが、「力より技」なのです。