身体を2分

 最近のスポーツ新聞を読むと、キャンプ中のプロ野球の記事がたくさん載っていますが、その中でよく目につくのが「下半身を鍛える」「下半身を使う」とかいう下半身という言葉です。
スポーツや格闘技などは外に力を出す運動ですから、地面に下半身でしっかりと立つことが非常に大事であるのは当然です。
しかし、だからといって私たちは、どんな運動でも上半身より下半身が大事であるとか、上半身よりも下半身を鍛えた方が良いとかと考えがちですが、それは少し疑問に思います。
私たちが身体を2つに分ける場合、上と下、前と後、右と左、内と外、などが考えられ、その中でも真っ先に頭に浮かぶのは上半身と下半身だと思いますが、右と左の使い方に目を向けることもとても大事だと思います。

 そこで我が社交ダンスを考えると、2本の足で床の上を軽やかに舞うわけですから、下半身だけが強くては動きが重くなってしまいます。
上半身と下半身のバランスがとれていないといけないのは当然で、それ以上に、身体を右側と左側に分けて考える、つまり2軸という考え方がより必要になります。
片足にしっかりと上半身を乗せてではなく、右足なら右の軸(右骨盤、右鎖骨と右肩甲骨)を乗せる、左足なら左の軸を乗せるということです。
日常歩く時でも、下半身を使って上半身を運ぶという考え方ではなく、右軸と左軸を意識して身体をしっかりと使って歩くということが大事です。
つまり、力と技で分けた時、力を考える時は上半身と下半身、技を考える時は右軸と左軸に注目することが重要です。
その割には、スポーツ新聞の記事の中に右と左という言葉が全くと言っていいほど見当たらないのは、私には不思議に思えます。
プロ野球の選手やコーチがそれを感覚的にも意識していないとは思えないので、これは右と左に対する一般社会の意識が薄いのと、記事を書く記者もそういう意識を持っていないので記事に出てこないのではないかと考えます。