たかが鎖骨されど鎖骨(2)

 スタンダード種目には、大きく分けて、右回り系のステップと左回り系のステップがあります。
例えばワルツでいうと、右回り系のステップの基本がナチュラルターンで、左回り系のステップの基本がリバースターンです。
多くの皆さんは、この2つのステップは、右と左と全く逆に同じ動作をしていると思っているのではないでしょうか。
しかし、鎖骨のわずかな動きで考えると、微妙に右と左では違う動作をしているのです。
“左鎖骨前、右鎖骨後”で鎖骨をずらしていると、左足も右足も鎖骨から動かすという前提で、結果的に、左足前進は少し大きくなり、右足前進は少し小さくなります。
もちろん、左足後退は少し小さくなり、右足後退は少し大きくなります。
これはほんの少しのことですが、とても重要なことです。

 そういう訳で、ステップは大きめにした方が良いのですが、何でもかんでも大きくではまずいのです。
ナチュラルターンの男性の1歩目の右足を大きくとり過ぎると、“右鎖骨前、左鎖骨後”になってしまい、その結果左足の2歩目が小さくなり、女性に対して壁側に回り込めなくなっている男性を多く見かけます。
逆に、リバースターンの男性の1歩目の左足は、鎖骨のずれを利用すると大きなステップになり、2歩目は女性に対して中央側に回り込む必要がないのでやや小さいステップで良いのです。
もちろん、女性のステップにも同じことが言えます。
ですから、どちらかというと、ナチュラルターンは2歩目にスイングがかかり、リバースターンは1歩目にスイングがかかる感じになるのではないでしょうか。

 つまり、男性と女性が互いに左にずれて組んでいるので、左回転と右回転が微妙に違い、それに対応する為に鎖骨のずれが重要になってくるのです。
他の種目や他のステップでも、すべて同じことが言えます。