首の動き(2)

それでは、社交ダンスのスタンダード種目を踊る時の首の実際の動きについて考えてみます。
レッスンの時に、「顔を左に向けてください」「顔は右に向きましょう」などとつい言ってしまいがちですが、これは正確には、「首を肩に対して背骨から左や右に回す」動作であると考えてください。
首の動きについての重要なポイントは2つありますが、その1つは“首を向けるのではなく、首を回す”ということです。
つまり、外見的に首を右に向く、左に向くではなく、内感的に首を背骨からどのように動かすかということが重要なのです。
脚(あし)はその基点である骨盤から動かす、腕はその基点である鎖骨・肩甲骨から動かす・・・ということは皆さんは分かっていると思いますが、首についても同様に、背骨から動かさなければいけないのです。

ポイントの2つめは、タンゴ以外は“首は常にわずかづつでも動かしつづける”こと。
動きを止めて肩とセットにしてしまうと、身体が固くなってしまいます。
首を背骨から常に動かし続けていると、全身が柔らかく動き、さらに顔の表現力がついてきます。
よく見られるのは、シルエットを崩すまいとして、上体つまり首と肩と両腕をセットにして固めて、脚でそれを運んで踊っている姿ですが、こういう方は、「上体の力を抜きなさい」と言われても、絶対に力を抜くことができないのです。
当然、腰が抜けて骨盤が不安定だったり、姿勢が悪くて背骨が伸びていなかったりしていても、首の良い動きはできません。
肩に対して首を動かすだけでなく、逆に首・背骨に対して肩が回る場合もあり、この両方の動きが組み合わされて身体が回転していくのです。