私は毎日レッスンをしていますが、以前はどちらかというと筋肉を意識した動作が中心でしたが、最近はより骨を意識した動作についてお話をしています。
骨をどう動かすか、つまり関節をどのように上手く動かせるように教えるかが最大のポイントの一つであって、そうしないと真に音楽を身体の内から感じて踊るという動作を身につけさせることができないと思っています。
しかし、多くの場合は身体の内部の動きが分からない、ただ外見だけの教え方がされているように思います。
関節を動かし、又今までの動かし方を変えることによって、ダンスを踊る運動能力が向上しますが、それ無しに練習しても本当の上達は難しいし、或は動かし方を間違えると、逆に身体を壊してしまうことにもなりかねません。
ですから、私たちはある意味では整体師のような方に似ているところがあって、最小限の解剖学的な知識を持っていないといけないと思いますし、そうでないと皆さんの身体を預かっているわけですから、とても危険な場合があると思っています。
これは、他のダンスやスポーツ等でも全く同じ事が言えるでしょう。
そこで、私たちの身体の関節を考えてみると、大切なのは背骨・肩甲帯・股関節の3大関節です。
誰でも、他人との比較ではなく、本人の中でこの3大関節の中で最も弱いところがあり、そこが上達への最大の障害になっているのです。
私が個人レッスンをする時には、そこを見つけて、本人に自覚させるまでが一つの勝負だと思っています。
多くの場合、その一番問題の関節の動きが直ってくると、他のあちこちの部分の動きも良くなり、ドンドンと上達していくわけです。
身体を鍛えようとして、必要以上の筋トレをしてしまうと関節が固まってきて、ロコモティブ・シンドロームつまり、将来寝たきり老人になってしまったり、長生きしても介護の必要な老人になってしまうという考え方があるようですが、私も本当にそう思います。
関節をしっかりと動かすように社交ダンスを練習することは、より楽しくダンスを踊れるだけではなく、結果として80歳、90歳になっても、自由に普通の生活ができる身体を維持できる事に繋がると思います。