力を抜くということ(2)

それでは、どういう時に“力が入る”か考えてみます。

一番単純に考えると、日常生活で身体が固い人は、ダンスを踊っても身体が固まって身体に力が入ってしまいます。

こういう方は、普段からストレッチ体操をして関節を少しでも伸ばすように努力してください。

一般に行われている筋トレをする必要はありません。

よくあるのが、踊っている時にバランスが崩れていると、倒れまいとして無意識のうちに相手につかまり、力が入ってしまうことです。

良い形を作ろう、或はホールドを壊さないようにと思いすぎる人も、身体が固まって力が入ってしまいます。

これは難しいのですが、モダン種目の良いホールドというものは微妙に動いていて、不定形と言えるものなのです。

人前で踊ったりした時に緊張しすぎる場合、気持ちに余裕がない場合、一生懸命になりすぎても身体は固まってしまいます。

ですから、私たち教える方も、一生懸命になりすぎると生徒さんの身体を固くしてしまう原因にもなるので、気をつけなければいけないと、いつも反省しているのですが・・・

以上の多くは、無意識のうちに自分を守ろうという気持ちが、身体を固くしてしまう原因となっているといえるでしょう。

他には、男性によくあるのですが、女性をリードしようと思って手で相手を押したり、引っ張ったり、或はお腹で押したりする事も大きな力が入る原因となります。

更に、足で床を強く押さえたり、床を蹴ったりという動作も力が入る悪い動作です。

これらは、外に対して意識的に力を出している、攻撃的な身体の使い方といえます。

 

以上の事から、力が入り過ぎるという状態は、自分を守ろうとする場合と、相手を攻撃しようとする場合に多く起こるように思います。

正しい社交ダンスとは、自分を守り過ぎず、外にも攻撃しないように踊ることであり、それは心身共の“自然体”をめざすことであると私は思います。